「琴美が笑えない分、

オレがお前に微笑んでやるから」


・・・

そう言って秀が優しく微笑んだ。

・・・

秀だって辛いはず。

それでも、私の為に、

笑顔を絶やさない・・・

「秀…ゴメンね」

謝る事しかできなかった。

・・・

「何で謝る必要があるんだ?

オレは好きで今ここにいるし、

琴美の傍にいる事が一番いいと思ってる。

想定外の事ばかり起きてるから、

今は身動きが取れないが、

そのうち必ず、ここから出ような」


「・・・うん」

・・・

私が頷くと、

秀はまた微笑んだ。




・・・

コンコン。

静けさを破るノックの音。