「うちの従業員に何か?」

そう言って、私の肩を抱き寄せたのは、

浩輔だった。


・・・

「・・・いえ。

ちょっとした知り合いですよ…ね?」

客は私に同意を求めてきた。

・・・

「そ、そうみたいです」

・・・

本当にそうなのか、

確信は持てなかったが・・・

もし本当にそうだったら、

待ち焦がれていた人・・・

・・・

私の顔が赤い事に気付いた浩輔は、

客に丁寧な言葉で告げた。

・・・

「他にもお客様がお待ちしていますので、

これにて失礼いたします・・・

どうぞ、ごゆっくり・・・」

頭を下げ、

半ば強引に、私を奥へと連れて行った浩輔。