ゆっくりと唇を離した浩輔。

・・・

私は目に一杯涙をためて、

浩輔を睨んだ。

・・・

「そんな顔をしても無駄だ。

穂波はもう、このキスの契約を

交わしてしまったんだから・・・」


「ふざけないでください」


「ここで働きだした時から、

そうしようと決めていた。

辞めようとしても無駄だぞ?」


「今すぐ辞めます!

こんな所、一秒だっていたくない」

そう言って、

踵を返した私は、

店を出ようとした。

・・・

しかし、

それは出来なかった。

浩輔に引き寄せられ、

背中を抱きしめられている。