答えを出すのに、
そう時間は掛からなかった。
「うんっ、そーしよ?」
じゃあね、と電話を
切ると、あたしは
かばんを持って、
階段を駆け下りる。
「行ってきまーす!」
切ったばかりの
肩につくくらいの長さの
ボブヘアを揺らしながら、
遥生の家まで走った。
「…っえ?! びびったー!」
あたしが息を切らせながら
玄関の前に突っ立っていると、
遥生は一瞬目を大きく見開いた後、
普段の優しい笑顔で微笑んだ。
「もー、何やってんの。
…まさか自分の家から
俺んちまで、走って来た?」
遥生がお兄ちゃんみたいな
語り口調で、あたしにそう
問いかける。
あたしはひとつ頷くと、
「もー」と困ったような表情。
