あたしと遥生は、
偏差値も平均より
少し高くて、制服も
可愛くて、それでいて
家からそんなに離れて
いないこの高校を
受験することに決めていた。


――その名も、桜町第二高等学校。


本当に桜の多いこの町、
桜町にある高等学校。


……って言ったら、
校名のまんまに
なっちゃうけれど。


そんな高校に受かった
あたしたちは、もう
ハイテンションで。


確か遥生の家にお邪魔して、
合格パーティーを開いたん
だっけなあ。


それもこれも、
全部全部、まだ
良い思い出たち。


――これからのことなんて
全く知らない、純真で無垢な
あたしたちの経験した、
幸せな思い出たち。