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ここは是非突っ込みを
入れたい所だったんだけど、
場所も場所だし、時間も
時間だし、クラスも気になるし。


髪を直しながら、
あたしと愛梨と遥生で
肩を並べて歩き出した。




「あーも、髪直んないー」




校舎に向かって歩き出して
約1分ほど。


ずっと髪を新品の
かばんの中に入れておいた
ポーチから、取り出した
ブラシで梳いて直してるんだけど、


ぐしゃぐしゃになった
髪はそのままで、せっかく
綺麗に内巻きに頑張った毛先も、
左側は崩れてきてしまっていて。




「どうしよ、今日入学式なのに…」




あたしがぽつりと
ひとつ弱音を吐くと、
愛梨が手にアメピンを
数本持って、あたしに
「おいで」と手で誘導した。




「黒のアメピンなら大丈夫だから…。
 …… っと、これでいいでしょ?」




鏡で自分の髪型をチェック
してみると、何だか最初よりも
女の子らしい、可愛い髪型になっていて。


左側を、少し触角のような部分を
残しておいて、あとは耳に掛けて、
そこをアメピンでクロスに留める、
ってだけの単純な作業なのに、
こんなに変身するとは思ってもいなかった。