「アレはあの執事に貰ったんですよ」
雅ちゃんが出て行った後、椿君がそう教えてくれた。
「昨年、誕生日プレゼントとして貰ったそうですよ」
そう言う椿君はどこか悲しげで。
そして―――冷たい目をしていた。
「もしかして椿君妬いてるんですか?」
「あぁ…かなり」
なんだ、椿君も可愛い所あるじゃないか。
やっぱり大事な婚約者が他の人と仲良くされると面白くないんだろう。
「でも、一番腹が立つのはあの執事の態度だ。
…あの、何もかもをはぐらかす姿が俺は嫌いだ」
椿君は私にそう教えてくれた。
「雅が一体どんな想いで――…「待たせたの」
椿君が何かを言い掛けたが、雅ちゃんがお手洗いから戻ってきた声と重なり、何を言おうとしたのか私は聞き取れなかった。


