「さぁて、今日はお料理レッスンを開始しますか」




動物園外出から一週間。
何度か雅ちゃんの夕食を試みるものの、あまり美味いと感想をもらえない私を見かねて新城さんが直々に料理を教えてくれる事になった。


ちなみに雅ちゃんは料理は全般新城さん…というよりほとんどの家事は新城さんがしていると思っているので、私が作ったと微塵も思ってないみたいだ。


私がする事と言えば雅ちゃんの話し相手ぐらい。…こんなに楽してしまって良いのだろうか?


――と、感じる今日この頃なので現在の状況は少し嬉しかったりする。



自分は役立たない人間なんじゃないかと考えていたからだ。


本来メイドとは言うなれば家事をしてなんぼ。
それを執事に全部押しつけたとあっちゃあ…給料なんて頂けない。


それに最近、二人にも少し馴染めた気がして此処で長く働きたいのだ。


だから、要らないと言われたくない。此処を辞めたくない。