「そう言えば雅ちゃんは習い事とかしないんですか?」
すると新城さんの肩が一瞬ピクリとした。
……ん?
「それは…椿様が“あのままの天真爛漫な雅が好きだ。だから彼女の性格を変えてしまうような事があれば婚約は破棄する”――…とおっしゃったからです」
つまりは彼女に何も負担はかけさせるな、と。
凄いなぁ…椿君は。
「新城さんって椿君の事嫌いですよね?どうしてですか?」
椿君は分かる。雅ちゃんを好きだからだ。
けれど、新城さんには関係ないはずだ。
もし、本当に雅ちゃんを只のお嬢様と思っているのなら。
「彼が私を嫌うからです。あまり舐めていると、痛い目を見るということを知ってていただかないと。
――野郎に売られた喧嘩は全て買いますからね、私は」
フフフ…と黒い笑みを浮かべる新城さん。
どうやら彼の真意を聞ける日はまだまだ遠そうだ。


