黄金時間が過ぎるまで

「大丈夫…ありがとね、里美さん」

鳴海は穏やかに言った。

「じゃ、そろそろ行くね」

立ち上がって上着を羽織ると、里美を見た。

「帰るの?」

「ううん、もう少しいるよ」

″まだ、黄金時間は過ぎてないからね…その時までは、自由だから…″

と心の中で呟く…

「そう…じゃあ、これ持ってって」

里美は菓子パンの入った学食の袋を差し出した。       

「どうも」

荷物をまとめて一礼すると、里美に背を向けた。
その背中に、里美はこうたずねた。

「…学校は楽しかった?」

鳴海はゆっくりふり返ると、こう答えた…

「最高にね!」



黄金時間が過ぎる時、鳴海は約束の場所へと帰って行く…

この日の夕日は、生涯忘れる事がないぐらいキレイだった…

(Fin)