黄金時間が過ぎるまで

千歳が帰る姿を屋上で見送ってから腕時計を見ると、2時を回ったところだった。

そろそろ行くか…と呟いて、最後に辺りを見渡すと屋上を出た。

″ガチャリ″と鍵の閉まる音がして、屋上はまた静かになった…



鳴海はその足で、前々から言われていた所に顔を出す事にした。

「…里美さん、来たよ」

保健室の戸をノックして部屋に入ると、

「静時君…卒業おめでとう!」

里美がふり向きざまに、声をかけた。

「ありがとう…」

淡い笑みを浮かべながら、里美の差し出すイスに腰かけると、コーヒーの入ったカップが手渡された。

「鳴海君から、伝言を頼まれていたの…」

里美はおもむろに、話し出した。

「″ごめんね静時、ムリすんな″だって…」

伝言を聞くと鳴海は、目をふせて口元で笑った。

「分かった…って言っといて、里美さん」

「うん…」

里美はそれ以上、何も言えずに黙り込んだ。