黄金時間が過ぎるまで

何が起こったのか分からずに立ち尽くしていると、徐々にある衝動が胸にわき起こってきた。

「え…?」

自分の意思に関係なく、勝手に涙がこぼれてくる…

不思議な何とも言えない気持ちで、いっぱいになる…

それは懐かしくて、切ない気持ちで…デジャヴに似ていた…

「ああ…そっか…」

何かが一瞬、分かったような気がした。

″いそいで!″

どこかで声がする…  

千歳の体は勝手に動いて走り出していた。

″この衝動はなんだろう…?!″

気づくと屋上への階段を駆け上がり、無意識に制服のポケットに手を入れて、鍵を握りしめていた。



″バン″と派手な音を立てて、屋上の扉が開かれた。

鳴海が音に驚いてふり向くと、 千歳が自分をめがけて走って来るではないか…

「え?!」

鳴海は思わず声を出して、驚いた。

千歳が勢い良く鳴海に抱き着いて、止まったのだ…

はじめ鳴海は何が起こったのか分からず、ほうけていたが…やがて理解すると、ゼイゼイと息を切らしている千歳に向かって、ニヤリと笑った。