「…彼女は、いろいろな意味で特別ですからね…」

「へー」

にんまりと笑って、水原は身を乗り出した。

「彼女って訳じゃないの?」

「…それは困るでしょ?オレの場合…」

「あー…かもなぁー、大変だねぇお前さんて…」

どうやら水原には、鳴海の考えが想像つくらしい…

「さてと…引き止めて悪かったね、行っていいよ」

満足げに水原は笑って、手の平をヒラヒラさせた。

「はい、コーヒーごちそうさまでした」

鳴海は荷物を持って立ち上がると、一礼して進路指導室を出た。


どこか気分がスッキリしている…

″思いがけない相手に、自分の本音を言ってしまったせいかな…″

そんな事を考えながら、鳴海は一人帰って行った…