″私を探す事が出来たら、いい物あげます″

そう、そのメモには書かれていた。

「…何で私だって思うの?」

「こーゆー事するの、君しかいないでしょ…」

「あ、そっ」

「で?何なの?」

聞きながら鳴海は、右手を千歳に差し出した。

千歳は目の前に手の平が来ると、反射的にペシッと叩いた。

「…」

「あ、ごめん、つい何となく…これです、これ!」

あわてて、千歳は脇に置いていたバックから、包装紙で包まれた長方形の箱を取り出すと、鳴海の手の平に乗せた。

「?」

「開けてみれば、分かるのでは?」

鳴海が包装紙をはがして箱を開けると、中には懐中時計が入っていた。

青銅色の装飾のない懐中時計のフタを開けると、アンティークな文字盤が現れた…

「…兄、来たの?」

「うん、らしいよ。里美先生に渡してくれるようにって、頼んでいったみたい」

千歳はまたバックから紙袋を取り出すと、鳴海に渡した。