黄金時間が過ぎるまで

「フフフ、そう。でね、この会社は世襲制らしくて、仕方ないから次男の静時君が継ぐ事になっちゃったの」

「あー…唐突ですね…」

「うん、おまけにお父さんの体の具合が悪くて、静時君が成人する前に、会社に入る事になっちゃってね…」

ふう、と小さくため息をつくと続けた。

「たぶん、静時君が自由でいられるのは、この高校三年間までだと思う。大学へは、行くヒマないって言ってたから…」

「…」

千歳は何も言えずに、黙り込んだ。そして…頭はボンヤリと、鳴海の訳の分からないセリフを思い出していた。

″ああ…なるほどね…″

今なら、そのセリフの意味が分かってしまう…

お兄さんの事、背負わされる荷物の事…

「ヘビーですね…」

「ええ、本当にそう思う…でもね、静時君ならきっと上手くやれると思うから…お兄さんが継ぐより、百倍ましだと思うし…」

「…そんなに、向いてないんですか?鳴海のお兄さんて…」