『えぇ…こほん、三年F組の鳴海静時君、至急保健室まで来て下さい…』

鳴海と千歳は目を合わせ、首を傾げた。

「何やったの?」

「…何も」

「何で保健室?」

「…」

鳴海は天井を見上げると、何か思い当たるフシがあるらしく立ち上がった。

「…行ってくるね」

「うん」

ため息をつきながら、鳴海は教室を出ると保健室へ向かった。



西館端の一階に保健室はあり、ノックをしてみると、若い女性の声が返って来た。

「はい、どうぞー」

「失礼します、里美先生」

鳴海は、わざと先生の所を強調して保健医に声をかけると、保健室に入った。

「待ってたわー静時君、ちっとも遊びに来てくれないんだもの」

「…健康なんで、わりと」

「つまらないのよー、お茶を入れるから、そこに座って」

里美は丸イスを進めた。イスは二つ出ている…

「…里美さん…もしかして来てる?宗一」

冷たい視線が、里美に向けられた。