「兄はね…確かこう言ってたかな…″あきらめて話を聞いた″って…でも毎晩続くんで、流石に参ったらしくてね…」

そりゃそうでしょう…と千歳は、同情する。

「″頼むから寝かせて下さい″って言ったらしいよ?」

ズルッと千歳の肩が落ちた。

「…それ本当?」

「もうマジ話。以来、夜の睡眠協定が結ばれたとか…」

「…分かった、情に訴えるんだね」

「うん、ま・この手が使えるのは、兄ぐらいだと思うけど?」

「〜〜なら言うな〜〜」

「まあまあ、ウソではないし…兄はちょっと変わってるからね」

「参考にならない…」

鳴海はクスクスと一通り笑い終えると、真顔になって言った。

「…相手はさ…イタズラだからねぇ…無視が一番だよ、千歳」

「え?」

「ラジオを聞いて寝るね、自分なら」

「へ?」

「兄は、あちら側に送る事が出来るぐらい強いからいいけど、自分は何も出来ないからね…ヘタに何かするより、一番いい手だよ」

鳴海は誰かに聞かれるのを厭うように、小声でささやいた。