ちぇっ。
ついさっきまで、俺の腕の中で甘い声を上げていたくせに。

コトが済んだ途端、仕事モードに切り替えられるなんて、本当につれないんだから。

「少しは褒めて下さいよ。
たまには水がもらえないと、俺枯れちゃいますよ」

俺がそうぼやくと。
それは大変だわ、とサキさんは笑った。

「和田くんの顔、好きよ」

これまで、今ほど自分に腹が立ったことはない。

だって。
俺の長所は顔しかないと言われたようなものだから。

機嫌の直らない俺を見て、サキさんは拗ねた子供をあやすように続ける。

「それだけじゃ不服なら。
キスとセックスも及第点をあげる」

あれで及第点か。
今まで、どんなセックスしてきたんだよ。

「後腐れがないのは満点」

「もういいです」

そんな言葉ならいらない。

だって俺が欲しいのは。
あなたの身体じゃなくて、心なんだから。