身勝手な彼女と、都合のいい俺(短編)

アパートの階段を駆け上ると。
俺の部屋の前にサキさんが立っていた。

セクシーでいて、清潔感のある顔立ち。

タイトスカートから伸びる、形のいい脚。

ああ。
これほど俺の心を揺さぶる女性は、やっぱり他にいないや。

「どうしたのよ。
誰かと一緒なら、今夜はいいって言ったじゃない」

サキさんは眉を下げながら、息の切れた俺の背をさする。

「そんなの、決まってるじゃないですか。
サキさんを、部長のとこになんて行かせたくないからですよ」

俺の言葉に、サキさんは眉を潜める。

「何それ。
何でそこに部長が出てくるのよ」