身勝手な彼女と、都合のいい俺(短編)

分かったって何だよ。

女の子と一緒にいるのが分かったなら、嫉妬してくれてもいいじゃないか。

それならいいってどういうことだよ。

俺が駄目なら、部長のとこ行くってことかよ。

「あーっ、もう!
勝手なんだから!」

俺が急に立ち上がると、ユミちゃんは目を丸くした。

「和田さん?」

「ごめん」

俺は思いっ切り頭を下げる。

かわいくて、性格が良くて、気が合って。

そんな好条件のユミちゃんを選ばないなんて、我ながらバカだと思う。

だけど。

「俺、どうしようもなく都合のいい男みたい」

俺は会計伝票と一緒に万札を手渡すと、慌てて店を飛び出した。

走りながら、リダイアルする。

「和田くん?
どうしたの?」

「すぐ戻るから。
だからそこで待ってて!」

「え?」

俺は電話を切って、足を早める。

早く帰らなきゃ。
サキさんが部長のとこへ行っちゃう。