身勝手な彼女と、都合のいい俺(短編)

「少し、酔っちゃったみたい」

ユミちゃんが俺の肩に体を預けると、彼女の胸が腕に触れた。

これがわざとなら、ユミちゃんは相当なやり手かもしれない。

「まだ、帰りたくないな」

上目遣いで俺を見るユミちゃん。

バンドに絡めてよく誘ってくるから、俺に気があるのかも、くらいは思ってたけど。
どうやら自意識過剰ではなさそうだ。

ユミちゃんは恋人にするには、多分最高の相手だ。

ライブの興奮も冷めないまま、二人ともかなり酔ってるし。

「迷惑ですか…?」

こんなシチュエーションで断ったりしたら、男失格だよな。