身勝手な彼女と、都合のいい俺(短編)

「めちゃめちゃ良かったですね」

居酒屋のカウンターで、ユミちゃんが興奮気味に言った。

俺はあの日、結局チケットを受け取った。

そして、サキさんに会うのが怖くて。
ライブが終わっても、家に帰れずにいた。

「最後のトークに被せるみたいに新曲のイントロが流れたとき、泣きそうになっちゃった」

うん。
俺もあの流れに一番グッと来た。

やっぱりこの子、気が合うな。

頬を紅潮させて熱弁をふるうユミちゃんを見ながら、ぼんやりと思う。

かわいいし。
スタイルいいし。
気も利くし。

セックスも合えば、他に言うことないんだけど。

なんて、俺が無遠慮な視線を向けているのに気付いたのか、

「あんまり見つめないで下さい」

そう言って、ユミちゃんは頬を赤らめた。