身勝手な彼女と、都合のいい俺(短編)

小泉部長は、サキさんの一回り上くらいだろうか。

ちょっと神経質で取っ付きづらいけど。

顔もスタイルも、同年代のオヤジたちに比べたらめちゃくちゃ整ってるし。
頼りになるし、男らしい。

仕事も、恋愛も。
サキさんに与えられてばかりの俺と違って。

部長なら、彼女が望むものを与えることができる。

そうか。
俺がどんなに望んでも、彼女の心は手に入らなくて当然だったんだ。

だって、本命は他にいたんだから。

俺はただの遊び相手。
そんな当たり前のことに、今さら気付いた。