が、ユリアの声に驚いたのか、その動物はサッと顔をひっこめ、どこかに行ってしまった。
「あ、行っちゃった。可愛かったですね~、撫でたかったのに……といっても、崖の上にいるんじゃ無理ですけどね」
動物は好きらしく、興奮したように話すユリア。
一方ウィルは、ほっとしたように息を吐き、また前を向いた。
「あと半日もあると、ニアトレッフェンにつく。野宿は避けたい。歩調を早めるぞ」
「え? うわ、は、はい!」
ウィルは先程の動物には触れず、足幅広く歩き出す。
さっきまでも付いていくのがやっとだったユリアは、小走りでそれに続した。
日が落ちる前に街に着くよう、2人は大急ぎで街に向かうのだった。

