ガサ、ガサガサ―――


明らかに、上方から聞こえるこの音は、2人に合わせて聞こえてくる。

歩けど歩けど、音はやまない。一生懸命ついてきている。


……まるでストーカーだ。


「ウィルさん、あの……」


ユリアがウィルに話しかけながら見上げた時、ひょこっとこちらを見下ろす動物と目があった。


「か、可愛い!!!」

咄嗟にユリアが叫ぶ。

それもそうだろう、見下ろしていた動物は、狐のように見えるが、狼のようにも見える不思議な生き物。

狐の耳、少し垂れて見えている尻尾は狼のもの。何よりまだ小さく、可愛らしい意外に表現しようがない。


「……」

それにつられて見上げたウィルが目を見開いた。