「……行こう」
「はい!」
後を追いながら、ユリアは思案を巡らせた。
枝に引っ掛けて、手当てを求めてきた子供たちは沢山いる。
けれど、ウィルの傷はそのどれもと一致しない傷痕だった。
言うならば、どちらかいうと。そう、金属と接触したかのような、スッと伸びた傷―― ……
ガサ
ユリアが考えていると、上方から木々をかき分けるような音が聞こえてきた。
2人の歩いている道は崖沿いにあり、おそらくその上に何かが居るのだろう。
きっと森に住む動物が近くにいるのだ、その時ユリアはそう考えるだけだった。
しかし――

