自分が海に落ちたせいで、とでも考えているのだろう。
それを見ながら、ウィルは溜息をついた。


「……誰が悪いとか、そんなのは別にどっちでも良い」


「……っ」


ウィルははっきりと告げて、地図を見る。

「……時間が勿体ない。とりあえず、トレッフェン橋に近い町に行ってみよう」


「は、はい」

ユリアはそれ以降口を閉ざし、ウィルも特に何かをいう事もない。

無言のまま、2人は目的の街へと足を進めた。

――

何時間歩いただろうか。
街へは中々辿り着かず、ウィルが何も言わずに立ち止まった。


「……ウィルさん?」

「休憩」

傍らにある林の奥を眺めながら、呟く。
それから、近くにあった丸太を指さした。