次の日、誰に告げることもなく、キシノルフを出る。 「……」 街を出てしばらくは、沈黙が続いた。 「―――ところで」 沈黙が何十分か続いた後、ウィルが口を開く。 「はい」 「……あんたさ。1人で旅をしてた?」 「え?」 「キシノルフに来る前」 「……あ」 海に落ちてキシノルフに流れ着いたというユリア。 ウィルの問いに、ユリアは小さく首を振った。