少女を寝かせて30分程すると、少女は瞼をゆっくりと開く。


「…………あれ?」



体を起こし、ウィルを見るや否や、少女は警戒を表した。


「誰? 龍王の居場所なら、知らないわ」


睨みつけるように見る少女を気に留める様子もなく、ウィルは自分の手にする本のページをめくる。



「ウィルダム=フィースト」


自分の名だけ口にして、それからようやく視線を少女に移し、



「俺の名前。ウィルでいい。海岸で寝てたから連れてきた。龍王の事は悪いけど、全く興味ない」


と、一気に必要最低限の事を言って、また視線を本に戻す。

そんなウィルを、少女はポカンと見つめていた。