逢ノ高校入学式・・・。

僕にとってはどうでもいいこと。

不安なんていらない。

逢ノ高校を受験したのは、
自らの家に近いから。ただ、それだけ。

でも、逢ノ高校の庭園で
花壇の脇に座る女っぽい男を見つけた。

よく見ると彼は花の上に座っている。
しかし、彼は花を押しつぶしていることに気付いていないのだろう。

ほんの気まぐれ。

彼に声をかけてた。

中学時代、冷たいと評判の僕は
出来るだけ人との接触をさけていた。

自分から話すなんて何年ぶりだろうか。

もしかしたら、初めてかもしれない。

「ここに座らないでください。
何をしているんですか、あなたは。」

「えええっ!?」

そう出来るだけ優しく言ったつもりだったが、彼は驚いて立ち上がった。

彼は茶髪で栗色の瞳をしていた。
その目は大きく、小動物のような雰囲気を醸し出していた。
さらに背の低さもあり、一瞬女に見えた。

「あ、あの・・・
僕、なんか悪いこと・・しましたか?」

彼は不安げに僕の顔を覗き込んだ。