花壇の脇に座り、鼻歌を歌っていると
近くに男子生徒が一人寄ってきて、怖い声で言い放った。

「ここに座らないでください。
何をしているんですか、あなたは。」

「えええっ!?」

いきなり言われて驚いたのと同時に立ち上がった。

「あ、あの・・・
僕、なんか悪いこと・・しましたか?」

恐る恐る尋ね、その男子生徒の顔を見た。

「あなたの座っている所、花が押しつぶされています。
もっと、植物を大切にしたらどうですか?」

「あ・・・・・。」

僕はその男子生徒の顔を見上げたときすごく驚いた。
彼は、すらりとした長身にサラサラの黒髪、黒曜石のような済んだ瞳という容姿をしていた。

自分が彼に見惚れているのに気づき、慌てて言い繕う。

「あっ、ご、ごめんなさい!!
こんなとこに花あるなんて知らなくて・・・。」

「わかってもらえれば充分です。」

僕は、そう言って立ち去ろうとした彼を呼び止めた。

「あ、あのさ・・・」

「何でしょう?」

「よ、良かったら
ぼ、僕と友達になってください!!
僕、こんな見た目だけど・・お、男だから!!」