LeliantⅢ


 村に着くのは明日の夕刻。というわけで、例の如く野宿となる。今日は森の中だ。ここも枯葉が少々落ち始めている。

 旅人が焚き火をするための炉があり、そこに火を起こして囲んでいた。リーリアの奴はさっきちょっと出てくるとか言って居なくなってる。

「んで? リーリアとはどれぐらい進んでるわけ?」
 問うて来たのはレン。にやにやとした笑顔。
 こいつは色恋沙汰が好きなのだ。

「だから、俺は何とも思っちゃいねぇよ!」
「……リル様、酷いです」
「おおぅっ!?」

 唐突に後ろからかかった声に振り向けば、リーリアが森から現れるところだった。手には――小鹿。
「……何だ? それ」
「お夕食です」

 言いながら、首筋にナイフの刺さった小鹿を引きずってくる。

「お前……昼間、命がどうとか言ってなかったか?」
「糧とするのは悪いことではありません。
 感謝の心を忘れなければいいんです」
 彼女は手馴れた手つきで鹿を捌き、火の周りに肉を並べる。

「あのな、保存食とか干し肉とかもあるんだが」
「新鮮なほうが美味しいですよ」

 あっさり、きっぱり、迷い無く言う。
 ――こいつの性格、なんとなく分かってきた。……ような気がする。

「う~ん、火の通りが遅いですねぇ……」
 呟くと、無詠唱で魔法を発動させ、肉を全部ミディアムにする。

「……お前な……」
「あ、レアの方がお好みでしたか?」
「リっちー、もうちょっと焼いて。あたしの」
「あ、はい」

「…………」
 何だかもう馬鹿馬鹿しくなって、俺は黙って肉を食った。


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