LeliantⅢ


「……じゃあな」

 帝宮の前で、俺は彼女に言う。

「リル様……」
「あんたが選んだ生き方だ」

 何か言いかけた彼女を、俺は遮って言った。

「正直言って、あんたがああしなくても、俺はあんたの身分を使おうと思ってた。
 ……でも、あんたは自分から皇女だと名乗り出た。

 それが全てなんだよ」

「………………」

「人の使い方なんか慣れればいい。皇帝でも、ドルメットにでも教わればいい。
 ……権力を振りかざせ。それがあんたが選んだ道だ」

 と、銀のレリーフを彼女に握らせ、
「ドルメットの奴に返しておいてくれ。俺の役割は終わった」

 そして、また彼女に跪いた。
「お元気で。皇女殿下」

「リル様……」
 涙声の彼女の顔を見ずに、俺はその場を立ち去った。

 ――良かったんだ。これで。

 皇帝に隠し子がいたことが発表されたのは、翌日だった。暫くは役職に就かず、政治を学ぶということだったが。
 リーリアント・ジュレア・メルフィース。第四皇女。
 彼女は、時の人となった。


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