「……じゃあな」
帝宮の前で、俺は彼女に言う。
「リル様……」
「あんたが選んだ生き方だ」
何か言いかけた彼女を、俺は遮って言った。
「正直言って、あんたがああしなくても、俺はあんたの身分を使おうと思ってた。
……でも、あんたは自分から皇女だと名乗り出た。
それが全てなんだよ」
「………………」
「人の使い方なんか慣れればいい。皇帝でも、ドルメットにでも教わればいい。
……権力を振りかざせ。それがあんたが選んだ道だ」
と、銀のレリーフを彼女に握らせ、
「ドルメットの奴に返しておいてくれ。俺の役割は終わった」
そして、また彼女に跪いた。
「お元気で。皇女殿下」
「リル様……」
涙声の彼女の顔を見ずに、俺はその場を立ち去った。
――良かったんだ。これで。
皇帝に隠し子がいたことが発表されたのは、翌日だった。暫くは役職に就かず、政治を学ぶということだったが。
リーリアント・ジュレア・メルフィース。第四皇女。
彼女は、時の人となった。
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