「失礼。こちらにヴォウフォーグを倒した魔弓士の方がいらっしゃると……」
金持ちの執事風の男がいつもの酒場にやってきたのはその次の日のこと。……まったく、噂ってモンは……。
「ご主人様が、是非とも受けていただきたい依頼があると……」
「悪いが、今、懐は重い」
怪鳥退治の報奨金もあって、暫くは遊んで暮らせそうな金額を持っていた。道楽に付き合うほど切羽詰ってない。
「いや、話だけでも聞こうじゃないか」
フォグが言うと執事は顔を綻ばせ、
「では、表の馬車に。邸宅までご案内いたします」
……ったく、これだから金持ちってのは……。
俺は胸中で嘆息していた。所謂成金趣味。
帝宮は必要最低限で、それと比べるとすこぶる気分が悪い。
セザーニ伯爵。帝都から馬車で半日ほど行った所の領主だ。領地は小さいが、帝都の近くだから格が高い。
「遺跡調査ぁ?」
ティルが声を上げる。目の前には豪華な食事。その向こうに成金趣味丸出しのオッサン一匹。
「すみませんが、そういう心得のある仲間はおりません」
フォグの言葉に、セザーニは頷き、
「知っておる。だから、わしの部下をつける。
お主らは、それを手伝ってくれればよい」
「……つまりそれは、アレか?」
俺は半眼で訊いた。
「遺跡にとんでもない番人か何かがいるから、俺たちで倒せと?」
「察しが良くて助かるのぉ」
セザーニのヤツは、でっぷり太った嫌な笑顔でそう言った。
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