誰も口を開かなかった。 いや、開けなかったのかも知れない。 そんな中、沈黙を破ったのは よっちゃんだった。 「先輩、俺は本気です。 もしこれ以上、先輩が桜を泣かせたら 僕も本気で狙っていきますから」 そう言ったあと、よっちゃんは 私を部屋まで送ってくれた。 すれ違う時、何であんなに 寂しそうな顔を先輩がしていたのか 私にはわからなかった。