先輩と私


しばらくの間、部屋がしんとした。


沈黙を破ったのは彼女だった。



「隆樹くん桜ちゃん、もうすぐ6時よ。
そろそろ帰った方がいいわ」


そう言って、楓のお母さんが
部屋に入ってきた。


「あら、入らない方が良かったかしら」

少し悲しそうな顔をしたお母さんに
先輩は笑いかけた。


「そんなことないですよ。
教えて頂いてありがとうございます」