ダイビングがしたい。だから圭一みたいになりたい。

 ではなく

 圭一みたいになりたい。だからダイビングがしたい。

 という思考回路なのだ。

「あんたがこんなアホだなんてクラスの女子どもは知らないだろうね」

「え?なんでクラスの奴が出てくるんだよ?」
 大阪の大学に進学し、四年間大阪で暮らしていた圭一は、この田舎で暮らす高校生とはセンスの良さが違った。

 そんな圭一をまるっきり模倣する雅史は他の男子よりもお洒落で更に高身長でイケメンときている。

 そのためクラスではかなり人気のある雅史だが当の本人は全く気付いていない。

 というより圭一を模倣するあまり、クラスの女子にうつつをぬかせないという状態なのかもしれない。