「ねぇあっくん」

不意に亜美が振り向いた。
風になびくレースの上着が後ろで輝く夕日の光で赤く染まる。

逆光で表情が読み取れない。
一気に近付く亜美の顔。一方的に重ねられた唇。

5秒くらいしたら、名残惜しげに亜美が唇を外す。

「恋人のあっくんにサヨナラのキスー。そしてこれが」

一歩下がって昭人の右手を取る亜美。

「友達のあっくんに、よろしく」

「……あぁ、よろしく」

「えへへ」