「...ちょっと私トイレ行ってくる。」
「あ、うん。ここで待ってるよ」
――――――――......
とくに用もないのに
私はトイレに駆け込んだ。
なんで私
こんなに動揺してんの...?
洗面台のわきに手をついて、鏡の先をみつめる。
「......っ。」
わけわかんない...
こんなの...私じゃない。
『ゆーいとっ』
『美優』
二つの声が脳裏から離れない。
ふと浮かぶあの女の子の像。
ふんわりとしたボブの黒髪。
横顔しか見えなかったけど
プルっとした唇が動くたびに
女の私でも魅了されてしまいそうだった。
腕に巻きつく仕草だって...。



