紗希と向かい合わせで席についてメニューを広げる私に


「さっきの人、超かっこいい~。ね、そう思わない?衿華」


店員さんの背中を見つめて
うっとり呟く紗希。


「私、男好きじゃないし。」

「だよねぇ、かっこいいよねぇ…。彼女いるのかなぁ…」



私の答えとつながってない。



むしろ自分の世界に入り込んでいる紗希にあきれながらため息をついた。



紗希は顔立ちの良い男の子が大好きだ。


まぁ…一般的にはそれが普通で
私みたいなのが珍しいんだろうけど…。




「私、アラビアータにしよっかな。」

「んじゃ私もそれで。」



そう返事をした紗希は『ピンポーン』と店内に響くブザーを鳴らした。