初めは私も
周りの子たちが言うように
王子様みたいなやつ
って思っていたけど
こんなやりとりを
毎回見せられていたら
さすがに感づく。
誘いに乗ったことは一度もないし
笑顔がどこか引きつっている。
黒ぶち眼鏡の奥で
透明に澄んだように見える瞳の奥には
なにか黒澄んだものが光っているようにも見えた。
どうしてこんな
表の表情作ってんのか知らないけど
あそこに立つ織川は偽物。
あいつを囲む集団の数をみる限り
それに気づいてるのは
唯一私だけみたいだけど…
……あほらしい。
カールのかかった髪の毛を
くるっと指に巻き付けながら
指示に従って
より一層、熱気を帯びた体育館をでた。