【完】素直になれよ。






こうして二人、隣同士で座ったのはいいものの


隣の女は俺に背中を向けて
ずっと通路側を向いている。


「なんの嫌がらせだよ。」

久留米の背中に向けてぼそっとつぶやいた。



「…なんか言った?」

俺の言葉に反応して久留米が振り返る。


「…地獄耳。」

「はぁ?」

「ほんっと性格悪ぃ女。」

「…あんたにだけは言われたくない。」

「あ?」


ゴホンッ。


俺と久留米が言い合いを続けていると

後ろから咳払いのようなモノが聞こえてきた。



恐る恐る振り返るとそこには

迷惑そうに細い目で俺らを見つめるおばさん。



「「…すいません。」」



俺らはどちらからともなく
そのおばさんに頭を下げた。