両手で久留米を抱えていた俺は

足で扉を蹴って桜井を呼んだ。



「えっ、衿…久留米?!」


扉が開かれたのと同時に
俺が抱えているモノを見て目を見開く桜井。



へー…俺の前では″衿華ちゃん″じゃねーんだ。




「急に倒れたんで、運んできました。」


昨日久留米が桜井に色々暴露したせいで

俺の素性が目の前のこいつにもバレてるってことはわかっていたけど


飽くまでも優等生らしく、そう言った。




「とりあえずベッドに。」



桜井に促されて
カーテンがぶらさがる先のベッドに

ゆっくりと久留米を下ろした。


それでも全くびくともしない久留米を見て



俺は変な感覚に陥った。



なんだこれ……

気が気じゃない。