そういえば私

お母さんの質問に

「大丈夫」以外の言葉で
答えたこと、なかったな…。




中学の時は本当に
毎日が、学校が楽しくて仕方なかったから

気にしたことなんてなかったのに



高校に入ったら
嘘ばっかり言っている自分に

心底呆れていた。




でもこれからも
お母さんに弱音を吐くつもりはない。




…さ、早く食べて学校行かなきゃ。




────────…




食パンを一枚
ぺろっと平らげて


ワイシャツを着てネックレスをつける。


いつも通り
ゆる巻きのロングヘアはハーフアップ。



玄関前の鏡で襟を直す。


「…いってきます。」


空っぽの家に鍵をかけて

まだ蒸し暑いアスファルトの上を歩いた。