「あー…全然わかんないっぽい?
私が織川くんを美術室に呼び出して告白して、抱き締めるように仕掛けたんだよ。」
「なんのために…」
「ははっ…、見せつけるためだよ。誰かさんにね」
その瞬間、腕の中で華奢な身体が震えた。
久留米…。
俺は唇を噛み締めた。
「もう、うまくいき過ぎて笑いこらえるの大変だったんだよ?
落ち込んだ久留米さんにつけ込んで、キスして欲しいって頼んだの。東堂くんにね。
それを今度は織川くん、貴方に見せつける。
そしたら案の定、あんたら二人の仲は崖っぷち。…なーんか私って、超悪女って感じ?」
俺は、俺たちは…、完全にこいつの手のひらの上で踊らされていたんだ。
そんなことにも気づかねーで、
馬鹿か俺は…。
「久留米…ごめん。昨日言ったこと全部取り消し。」
すすり泣く彼女の耳元で、俺は小さく囁いた。



