「…俺行くわ。」


織川は逃げるようにして
私と先生の前からいなくなり

保健室の扉を開けて出て行ってしまった。



「わっかりやすいなー、織川も。」


「…も?」


「俺、結構鋭いんだよ?」



先生はぺたんとベッドに座り込む私の目を

じーっと見つめてくる。



…もしかして私の気持ちもとっくに……


先生の透き通った瞳に吸い込まれそうになって

即座に視線をそらした。



なんだか心の奥底まで
のぞかれてしまいそうな気がして…


「…な、なんか…寒くない?ここ」


私は適当に思いついたことを咄嗟に口にした。


「あー、そういえば冷房、直で当たってたよねここ。寝てるとき寒かったでしょ?」


「……。」



そっか…だから
夢の中あんなゲレンデみたいな場所で…。