【完】素直になれよ。






「衿華ちゃん、笑ってたのかぁ…」


桜井はそう言いながら
安心したように目を細めて

小さく笑った。



「俺、実は一回しかみたことないんだよねー。衿華ちゃんが笑ったとこ。」


「一回…?」


「衿華ちゃんって、一年の頃からよく貧血とかで倒れちゃったりして

先生方に抱えられて保健室に運ばれてくることが多かったんだよ。」


「……へー…」



確かに…。あいつこの前プールでも倒れそうになってたし…


「最初は目が覚めたら授業に戻って…って、ただそれだけだったんだけど…

俺と話す機会が増えて
心開いてくれるようになったとき

……そのときに、一回だけ。」



…そういうことか。


保健委員だけじゃなく
桜井と久留米をつなぐものが他にもあったから

久留米は桜井に…。



「衿華ちゃん、誰かにムカついて怒ったり、泣いたりしてるより…笑った方が、可愛いのに。」



桜井のセリフに
ピクッと眉が動く。


…可愛い?


んなの……とっくに分かってるけど


お前が言うと

イライラしてくる。