私が...初めて...。



美優さんの言葉を心の中で復唱する。




「えっとー...どの辺のマンションかな?」


「あっ...そこの本屋の目の前です」


「りょうかーい。」



美優さんはマンションの目の前で車を止めて、私を下ろしてくれた。




「本当に、ありがとうございました。」


誤解してごめんなさい。

そんな意味合いも込みで、深く頭を下げた。



「こちらこそ。そうそう、料理まで作ってくれたんだって?...あいつわがままでごめんね」


「いえ...」


「じゃあ、また遊びにおいでね。」



そう言って窓ごしに手を振って、
ハンドルを切ってまた走り出した。