「あいつが助けてくれた時さ...『こいつの、兄貴だから。』って言われて、なんかムカついたっていうか...なんていうか...」



織川にあんなことされて
ムカつくのは当たり前なはずなのに...。


違う...。



なにかが違う。





そんな気がした。





「ねぇ衿華...。その織川くんのこと...本当に嫌い?」


「そんなの当たり前じゃん!」


優しくなだめるような紗希の言葉に、必死に応える私。




「じゃあ、言ってみ?"私は織川くんが嫌いです"って。」


「......私は、織川が......あぁぁ!もうっ、わけわかんない...!」



織川が嫌い。


そんなこと少し前までは
なんのためらいもなく言えたはずなのに。