あの日からすでに半年が経っていた。

ボクは高校最後の夏休みだというのに市立図書館にいた。
広いテーブルの真ん中にボクは腰掛け、参考書と格闘していた。


と、その時、ボクはあの華やかな香りに気付いた。

顔を上げると目の前にあの人がいた。
目が合うと、あの人はふっと微笑んだ。

「長男なのに健二くん」

名前、覚えてくれてたんですね。

「受験勉強?そっかぁ、もう3年生だよね」

どこを受験するかなんて聞かないでくださいよ。

「夢に充ち満ちて、うらやましいな」

そんなんじゃないですよ。





「じゃ、いっしょに死んでくれる?」

ボクの呼吸が止まった。